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【レビュー】落合陽一演出によるLautashiコレクション発表のインスタレーション 鈴木えみとコラボ Amazon Fashionのイベントに潜入!

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10月18日に行われた、Amazon Fashionが実施するプログラム、”AT TOKYO”での、「Lautashi (ラウタシー)」2019年SSインスタレーション形式によるコレクション発表を見に行ってきましたので、レビューしたいと思います。

今火曜News Zeroなどに出演中の筑波大学准教授、メディアアーティストでテノロジー開発ベンチャーのピクシーダストテクノロジーズ株式会社CEOの落合陽一氏が演出を担当で、鈴木えみ氏がデザイナーを務める、レディースファッションブランド「Lautashi (ラウタシー)」インスタレーション形式のコレクション発表が行われました。今回のファッションショーについては、fashionsnap.comでも取り上げられ、注目されています。

 

まず、鈴木えみさんがデザイナーを担当するラウタシーというブランドのそのネーミングに惹かれました。おそらくこれは古語の「らうたし」に由来しているのではないかと思いました。

弊ブログの運営はペンネームのMONONO AWAREという名で行っていますが、これも「もののあはれ」という江戸時代の国学者本居宣長が提唱した『源氏物語』の主題として有名です。私はこういった日本の古典文学を研究する学部の学部生をしているため、とても気になったのです。

 

まず、「らうたし」ですが、この古語は「幼くて、かわいらしい」ことを表します。非常に多種多様な形容詞・形容動詞の使用が認められる『源氏物語』にも、用例がいくつも見られます。

 

しかし、今回実際に目にした鈴木えみさんデザインのラウタシー2019SSは、幼さやそこに起因するかわいらしさよりも、全体的に女性的な佇まいの美しさを強調する服のデザインだったのではないかと感じました。しかし、細部を見るとかわいらしさのある模様や柄が見られたのも確かでした。

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この柄とかすごく「らうたし」って感じですよね。

ただ、コンセプトについては、オフィシャルサイトにて「求めるものは奥行きのある佇まいと存在感、そして内面から湧き出るしなやかさ。存分に力を発揮できるように、鎧となろう。」としているので、本当に古語の「らうたし」に由来するのか推測の域を脱しないです。

 

今回のテーマは、「光のタイムマシン」ということで、「光」と「時間」がキーとなっているようです。事前に配布されたフライヤーには、

1日の喧噪が始まる前の朝のさわやかな光、

活動的な昼の真横からの直射日光、

静まりかえる暗闇の中に優しく灯る夜の光……

私たちを取り巻く光の環境は、時間帯によって刻々と変わっていく。

その中で袖を通す服が、どんな表情をみせるのか。

現代という工業社会における、光と影、天と地。

「日常着としてのファッション」をコンセプトにする

Lautashiを纏って街角に佇む1日の風景を、光と音の芸術を使って再現。

とそのコンセプトが書かれていました。

光と音という人の感覚に訴えるもので、情報の大半をそこから得るということから、日常をビルの一室で再構築するにはもっとも再現性を高くしてくれます。

また、ディスプレイに映し出された光の波動は、落合氏が日常からカメラに抑えてきたものを「分解・構築」しているものでした。

そして音楽も日常の環境音をサンプリングし、BGMを構築したものでした。

そういった「日常」を強く感じさせるポイントが、光と音による意義だと感じました。

 

また、落合陽一氏によるディスプレイや照明、KAITO SAKUMA氏による環境音からサンプリングされ、生成されたBGMなど、日常から抽出した要素が凝縮された演出が、コンクリート打ち放しの侘びた空間で再生されることによって、現代の日本の美的要素がふんだんに盛り込まれた、日常によってつくられた非日常的なインスタレーション作品となっていました。

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本来、服の展示はコレクション発表なので、バイヤーの買い付けや着てみたい新作を吟味しに来る人向けですが、今回はインスタレーションという現代アートをスタイルとして取り入れることで、新たなファッションショーのかたちを見せてもらえたという感じでした。

やはり敢えて生身の人間が、無機質なマネキンを真似るように佇むことで、人を模るということにおいて埋められない本物との解像度の差が、一層人の存在感を強め、マネキンにはない服の体への馴染み具合や、体の揺れによって生じる服の波などが、非常に美しく、服をより魅力的に映していました。人に服を着せて立たせることの意味がそこにあるように感じ取りました。

とてもエネルギーに満ちた素晴らしい作品でしたね。

 

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(展示スタート直後の様子。)


 

AbemaTVの取材の映像もあります。

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落合陽一

(おちあい よういち 1987年9月16日 )

日本の研究者、大学教員、博士(学際情報学)、メディアアーティスト、実業家。ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長、筑波大学 学長補佐・デジタルネイチャー推進戦略研究基盤 基盤長・図書館情報メディア系 准教授 デジタルネイチャー研究室主宰。ワタナベエンターテインメント所属。

著者に『魔法の世紀』、『日本再興戦略』、『デジタルネイチャー』など。

これらの本は後日、弊ブログにて取り上げさせていただきます。これからの日本のことを真剣に考える学者であり、実業家であり、アーティストの落合陽一氏の著書は、現代日本人必読の書です。

 

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鈴木えみ

 (すずき えみ 1985年9月13日)

日本のファッションモデル、投資家、実業家。スターダストプロモーション所属。ドラマ出演多数。Lautashiのデザイナーを務める。

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