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【必読】『ホモ・デウス』マーク・ザッカーバーグやビル・ゲイツなど世界を牽引するリーダーオススメの本をレビュー

今回は、本のご紹介です。

真面目に書いたので、少々文面は堅いですが、読んでいただけると幸いです。

 

 

 《書評》

この著書は、『サピエンス全史』の著者、ユヴァル・ノア・ハラリによる人類が今後向き合う、いや、向き合いつつある新たな時代の幕開けについて、生命科学・生物学、遺伝子学、データ、テクノロジーなどの面から多角的に論じテイル。著者の独自の視点に基づき、人類はデータフローに身を任せ、一体となりつつあるという一つの結論に収斂しながら、読者に考えることを促す問いを投げかける形で本書を締めくくることで、著者の考えが一つの可能性に過ぎないことを明確に示している。

 

この著書の優れた点は、『サピエンス全史』を引き継ぎながら、過去の人類史・地球史を俯瞰することで見せてくれた、この世界の人類を含むあらゆる事物はアルゴリズムによって形作られているという、現在の科学界の定説に基づき、現行のかなりの数の人類が信じる人間至上主義やそれを支える自己という意識さえも、人類が5万年前に得てから、ゆっくり発達させて来た<認知革命>による虚構の産物であるのだという、衝撃の事実を読者に叩きつける。

 

そして著者は、これまでの歴史の流れの考証に、すべての主義・思想(宗教も資本主義も人間至上主義も自由市場経済も)データフローの良し悪しで勝る方が時代を席巻して来たという新しい見解を示す。この視点は、シンギュラリティを目前にし、<Internet of Everything>の時代に直面しつつある現代に、その視点から歴史を振り返った著者だけでなく、現代のデータの大海原に生きる私たちにも直感的にわかり得ることであり、現在シリコンバレーなど、データで世界を牽引する一部のエリート層にとって、感覚的にわかり得ることでもあるようだ。しかし、それを言語化し、データの専門家ではない私たちに理解せしめるのが、本書の真髄だろう。

 

私見

この著書を読めば、全てが氷解するわけではない。著者は、無限の可能性と想定し得ない道筋を秘めた未来と、まだ分析し切れていない過去の人類の営みや、人類を含むあらゆる生物の情動や意識を生み出す働きが本当にアルゴリズムに基づくのか、など問いを残している。

つまり私たちは、本著で語られたものにある事実と、不確定の部分を明確に認識しながら、自ら考えることを続けねばならない。そして、否定された人間至上主義の自己や意識の神聖さにどのように向き合いながら、人類の知能を超えるそれを持つ人工アルゴリズムとの違い、機械性に対する<人間性>を確立していくかが、これからの私たちホモ・サピエンスの生き方に直結してくるだろうことがわかった。

 

私たちはデータの一部になることを拒むことも、逃れることもできない。<人間性>の豊かさを<機械性>が保証してくれるのに、はっきり言って身を委ねることにデメリットはない。機械の方が私を知り尽くすことになろうと、私のうちから沸き起こる、機械にはない、モチベーションとクリエイティビティという<人間性>をデータの蓄積に凌駕されることは、今のところ考えづらい。

結果的に私たちに残された道は、<機械性>の構築に貢献しながら<人間性>の磨き上げを行わなければならない。だからこそ「好き」を追求し独自の<人間性>を磨き上げながら、それをネット上に発信し、データの蓄積による<機械性>の生態系に貢献しなければならない。

 

また、この著書はこれまでの一神教的、中央集権的な西洋的価値観の更新を要請している。それなら日本人の私たちやアジアは関係ないのではないか、と思わないでほしい。現在どれだけ私たちが、文脈もわからずに西洋社会で醸成された制度にどっぷり浸かっているか。

文脈がわからない上に現状を大きく変えることは怖い。現状問題があることは明らかなのに、制度を生み出した文脈がわからず翻弄され、改善しようにも怖くてできない。しかし思い返して欲しい。日本人が西洋文化に倣い始めたのは約150年前だ。日本人がそれまでその何十倍もかけて育んで来た、もっとも性に合った文化には気づかないだけで、むしろ時代はそれらを思い出し、実行に移すべき時なのだ。

例えばそれは一神教的、中央集権ではうまく歯車が回らなくなった西洋社会を見てみると、現在ブロックチェーンなどの「分散型」の技術が勃興しはじめている。これは権力や情報を一点に集中させず、あらゆるところに分散管理され、ユーザー一人一人が管理者になる、と言った概念だ。これが東洋的価値観に見事にハマる。東洋社会は多神教的で、日本は八百万の神と言った自然のあらゆる場所に、共存的に神々が宿っていると考えてる。

こうした日本やアジアの土着の思想・概念がこれから西洋的概念に置き換えられていくことだろう。今こそ、アジア、日本に目を向け発信するときだ。(『デジタルネイチャー』参照)

 

これだけを読んでも、ここで私がいうことは理解しにくい。ぜひ一度手に取って見てほしい。

 

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